公開当時、劇場で観たいなぁと思っていたら物凄い早さで劇場公開が終わってしまった作品です。買って観てみたらなんとなくその理由も判った感じ。最初に書いておくと、僕は絶賛です。
基本情報
2027年― 人類存亡をかけた戦いが始まる・・・・
総製作費120億円 近未来SFアクション超大作!
子供が誕生しなくなってしまった2027年の近未来を舞台に、
人類存亡の《鍵》を巡る攻防を120億円の巨費を投じて描いた
アクション・エンターテインメント!
感想
物語は割と正統派のSFです(といっても、スピルバーグ的なメカメカした未来ものだけをSFだと勘違いしている向きにはそう思えないとは思いますが)。
今から20年程未来、人類には18年間新しい命が生まれておらず、各地の治安が崩壊していく最中難民問題やテロという社会問題が噴出し、世界にはもう終わりかもしれないという絶望と焦燥が漂っている、という設定。
とりあえず設定はしっかりSFだと判りますよね(原作はハヤカワ文庫だってさ)。ただこの設定は、説明的なセリフや明快なシーンで明らかにされるものではなく、物語の本筋を支える背景としてさりげなく配されているに過ぎないのです。
たぶん、ハヤカワのSFものやインディペンデント作品のこう云った挑戦的な作品創りを観慣れていないと、「説明不足で、意味が判らない。」と感じるんじゃないかと思います。
もちろん個人の趣味趣向は多様だからこのテの作品の性質を好きじゃないとか否定したい人がいても不思議じゃありませんが、せっかく素晴らしい作品なだけになんだか気の毒になってしまうのです。
物語そのものは古典
ただし世界設定はSF的で映画の手法としてはハイクオリティなドキュメンタリー風です。だから、物語そのものは安定しているんです。素直に観て良いのだ、この映画は。
全体的に地味な印象は確かにあります。その部分がドキュメンタリー風とも云えると思うんですね。このドキュメンタリー風な映像にする為に、もの凄い頑張っているんですよ。
公開当時、驚異のワンカットが話題を呼んだそうです。これもワンカット風にCGと編集を駆使しているのであって、本当のドキュメンタリーを撮るのと同じことをしたわけではありません。
つまり、創り物である以上ドキュメンタリーとして映像を撮るのは不可能なんですよね。この作品は、その部分を見事にクリアしていて、観客は創り物と知りながらあまりにリアリティのある映像に息を呑むんじゃないでしょうか。
技術的にも凄かった
映画を技術的な部分だけで評するのも違うとは思っています。
トゥモロー・ワールドで云えば、非常に困難な撮影を乗り越えた結果、その映像で達成したかったイメージを見事に表現出来ていると思いますから、やはり映画作品として判断していいわけです。
そして、映画作品として判断した上で素晴らしい作品だと思います。どこで?と云われそうですけど、この映画で僕は泣いちゃいました。
不満も書いておこう
邦題がダサいこと。トゥモロー・ワールド。完全にB級近未来アクションのタイトルじゃない?
原題「チルドレン・オブ・メン」でいいじゃん。
作品のテーマ性から言ったら絶対原題まんまのほうがいいのになぁ。僕はB級近未来アクションもそれはそれで好きな方なので、ソレを期待してこの作品を観ていたとしたらちょっとガッカリしたかもしれません。そういうのを観たい時ってのも確かにありますからね。
最後に
地味ですけど、お勧めです。じんわりと響いてくるものがありますよ。■■
- アーティスト: サントラ,プレッシャー feat.ウォリアー・クイーン,ザ・リバティーンズ,サイラス(ランダム・トリオ),ジョン・レノン,ジャーヴィス・コッカー,ディープ・パープル,ルーツ・マヌーヴァ,ジュニア・パーカー,マイケル・プライス,キング・クリムゾン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2006/11/15
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
コメント