トロン。
なんかいいですよね、この響き。トロもロンも、なんとなく言葉が柔らかいのにテクノロジーが持つ硬質感もうっすら感じられて。さてどうでもいい事は置いておいて感想です。
基本情報

感想
旧作は、僕のような世代にとってコンピュータグラフィックスの代名詞的存在でした。小学生時代に初めて観た時、当時考え得る一番未来の映像を観た、ような気がしていたものです。
事実、後に知った所では手描きアニメーションによる補完も相当カットで施されていたと云う事ですから、当時コンピュータグラフィックスが必要とした莫大なコストは想像以上だったんだろうなと思います。
CGを使うということ
絵画や写真と違って道具としての「テクノロジーの進歩」が作品性や表現力にそのまま直結するような存在であるCGは、時代による劣化がトンでも無く激しいのが特徴の一つですよね。
僕も10年程以前はCGムービー制作の仕事に関わっていましたので、当時でさえ1台100万円以上もするSGIマシンが1台/1人ずつ必要であり今から考えたら超低速のCPUでヒトコマ10分もかけてレンダリングしていた頃の、面倒臭さと難易度の高さはソコソコ知っています。
今なら、10万円くらいのPCとフリーツールの組み合わせで、それなりのアニメーションをレンダリングする事も可能なのですから、思えば夢のような環境になったものです。そしてトロン第一作目は28年前の作品である事を想うと、なんとも無謀なチャレンジだったと判ります。旧作トロンはテクノロジーが産んだ徒花です。
さて今作は28年も前のマイナー作品の続編なのです。
最近のハリウッド作法に則って旧作を知らなくても楽しめるような作りになっているのだろうなと思っていたら案外そうでもなく、色々の説明を平気でぶっ飛ばしていく展開に驚きました。旧作を先月観た映画程度に位置付けて話を転がして行くものですから物語について行くのがちょっと大変でした。
「嗚呼このゲーセンの看板は!」とか思えた人はどれだけいたんでしょうか。
プログラムという人工物の内部で発生した新種生命体というアイデアなどは目新しくはないものの、こういったテクノロジーをテーマにした物語としては必然があると思えるのでまァ悪くないなと感じたのに、どうにも物語の運びというか設計部分での緩さが災いしてカッコ良くなりきれないもどかしさがあったように思います。
ほんのり残念
話の筋はシンプルだし悪くないと思うんですね。ただギミックやアングルを使いきれていない感じで勿体ないなーと感じる場面が多かったですね。
絵的な部分では全然文句は無く、こういったデジタルイメージって最近忘れられていたけどやっぱりカッコイイなと思いました。それだけに、より残念さは残ります。この作品、マトリックス以前に制作されるべきだったなと感じました。
最後に
そういえば更なる続編の話があったようななかったような。と思ったらトレーラーがありました。制作は進んでるんですかねぇ~。ちなみに、観た事が無い方はちゃんと1作目から観てくださいね。色々楽しめる要素がちりばめられているので。

楽しみに待ちましょう。■■
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