「色即ぜねれいしょん」を観た感想は『高純度のDT映画だ』だった

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みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督作品「色即ぜねれいしょん」を観ました。この映画、童貞青春映画としてめさめさ完成度が高く、男である僕は何度も心臓をくすぐられて声を出しそうになるほどでした。田口トモロヲ恐るべし、です。

基本情報

色即ぜねれいしょん [DVD]

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みうらじゅんの自伝的小説を、盟友・田口トモロヲが監督!
青春は、モヤモヤするほど、ドキドキする。

毎回映像特典 予告編、特報、TV-CM、
オーディオコメンタリー<田口トモロヲ(監督)×向井康介(脚本)×渡辺大知(主演)>

優しい両親、平凡な毎日、それが僕のコンプレックス。

安田講堂が陥落し、学生運動も下火になった1974年、京都。乾純は、仏教系男子校に通う高校一年生。ヤンキーたち体育会系が幅を利かせてる学校では肩身が狭く、家では優しすぎる両親にかわいがられ・・・・・・、ボブ・ディランに憧れてロックな生き方を目指しているけど、何かに反抗する勇気もない。おまけに、小学校の頃から片想いしてる足立恭子には告白すらできない。平凡で悶々とした日々を暮らしていた。
「行かへん?旅」
ある日、純は同じく文科系男子の伊部と池山から隠岐島への旅に誘われる。彼らによると、隠岐島のユースホステルにはフリーセックス主義者が集まるらしく、そこに行けば“モッテモテ”になるという。数日後、重いギターケースと旅行バッグを手にした純は、待ち合わせ場所である京都駅でタバコに火をつける。気分はすっかりロックミュージシャン。合流した伊部と池山に「ギターなんてずるい!」とからかわれながら、夜行列車とフェリーを乗り継いで、浮かれ気分で隠岐島へと向かう。
「これがフリーセックスの巣窟・・・・・・?」
想像よりはるかにショボいユースホステルの外観に3人はがっかりする。しかし「世界一自由な場所を作りたい」とデカすぎる夢を熱く語るヘルパーのヒゲゴジラや、母親以外の女性で初めて仲良くなった女子大生のオリーブたちとの自由で気ままな時間が3人を魅了していく。そして知らず知らずのうちに、夏の旅は3人の絆をも深めていく。あっと言う間に島を去る日がやってくる。フリーセックス主義者は結局ひとりも見つけられなかったが、いくつもの出会いと別れを経験した3人はちょっぴり大人になれた気がしていた。
夏休みが明けて二学期。学校も家も何ひとつ変わっていなかったが、純の中には何かが芽生え始めていた。自由を感じた島での時間、オリーブとの再会、ヒッピー風(?)家庭教師からの妙なアドバイス、そして授業で始めて意味を知った“色即是空”という言葉に後押しされ、純は文化祭のコンサートに出演することを決意する・・・・・・。

感想

まずは役者の選び方が秀逸です。黒猫チェルシーの渡辺大知、くるりの岸田繁、銀杏BOYZの峯田和信というミュージシャン勢が最高に愛しいキャラクタを演じているし、臼田あさ美の普通っぽいエロさも味わい深いし、高校生連中の青さも懐かしくて恥ずかしいし。これ、最高の褒め言葉です。

 童貞という単語が持つネガティブなイメージは、セックス未経験者の男子がナニか劣っているという感覚があるからでそれは男女問わず持っているイメージだと思うんですが、純粋さで言うならば無敵の存在であると云う事は案外認識されていないと思うんですよね。

 自分の中学生〜高校生時代の辺り、あまりに馬鹿な恥ずかしい想いを真剣に脳内で発酵させていた青臭い時期の記憶を、これでもかと思いださせてくれるこの映画は、正に「童貞映画」の名に相応しいと思います。

 観ていて、何度も心がゾワゾワと落ちつかないような、でも実はこっそり気持ち良いという感覚に襲われました。カッコつけたいと云う浮ついた気持ちと、あらゆることに不器用で上手く立ちまわれない自分に悶絶し転げまわるカッコ悪さのギャップが、笑えて泣ける話となって形を作ります。

 どうにも出来ない無軌道な思いをぶつける先が見つからず、思わずギターを掻き鳴らして恥ずかしい曲を作ってしまうようなアノ感じです。創ったよね、恥ずかしい曲とか文章とかをさ!ギャー思い出したくないーーーー!

最後に

全日本男子よ、この映画を見るべし。■■

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