「人のセックスを笑うな」を観ました。めさめさ簡単に云ってしまうと、「芸大の講師と学生の不倫ものと云うになります。この作品のキモは情念のどろどろを描く事ではなく、より日常的な視点で恋愛イベントを再現する事にあるようなので、ものすげーさわやかでライトでした。
基本情報
19歳の美術学校生のみるめ(松山ケンイチ)。ある日、絵のモデルを20才年上の講師ユリ(永作博美)に頼まれ、その自由奔放な魅力に、吸い込まれるように恋におちた。友人の堂本(忍成修吾)に問いただされ、みるめは彼女との仲をうれしそうに告白するが、いつもつるんでいる仲間のえんちゃん(蒼井優)の顔は曇ったままだった。
初恋に有頂天のみるめだったが、実はユリは結婚していた――
感想
日々のなんでもない時間の流れ方やどうでもいい会話、毎日の「どうと云うことはない感」をリアルに描写していますね。劇的なことなんてそうそうあるわけじゃあないし、滑舌のいいヤツばかりでもないし、道徳的なヤツばかりでもない、全ての出来事にキッチリ折り合いをつけて生きているヤツばかりでもないと云うのが、実はリアルで退屈な日常です。
そのリアルさに対して「映画観てんだからもっと楽しませてくれ」と感じると、この映画は退屈極まりないものに感じるかもしれません。カメラワークはフィックスの長回しばかり、音楽がかかるシーンは数える程度、物語の起伏もさほどない、みたいな感じです。僕はこの感じが全然好きだったので、最初から最後まで楽しめました。
永作博美姉さんが、とにかくイイのです。物事を難しく考えてしまうことを放棄したようなキャラクタと、永作博美の童顔がよく合っていました。全編ノーメイク風の顔もイイ感じです。というか僕はすっぴんノーガード状態の女性の顔が基本的に好きなんだな、と自分で気がつきました。松山ケンイチもすこぶる良かったです。
二人でセックスのあとに、ほんっとにどうでもいいピロートークをしているシーンや、イチャついて二人だけが楽しんでいる会話など、めさめさ恥ずかしくなる完成度の高さでした。そう、めさめさ恥ずかしいんです。
ラブい会話なんてのは内容が恐ろしくくだらないもので、ただそれでも嬉しかったり楽しかったりするからラブいわけで、他人がみたらとにかくサムいし恥ずかしいモンなのです。こういう恥ずかしいものを見たり聴いたりして、「ぎゃーーー!」と転がるのが僕は好きです。
最後に
観る人を選ぶけど良作ですよ。ゆた~っと時間が流れるのを楽しめるあなたは、観てみなされ。■■
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