チャン・イーモウ監督をご存知ですか。
僕は大好きなんです。
むっさ有名な監督ですから、ご存知の方も多いかと思いますが、名前聞いた事はあるかなぁ程度の認識しかお待ちでない人もいらっしゃるかもしれません。
損してるよ!
もしあなたが少なからず「映画を観るのが好き」な人類でしたら、なおの事です。
チャン・イーモウ監督作品の事は語り出すと語りたい事が多過ぎるので端折りますが、彼の最新作が万里の長城映画「グレートウォール」なのです。
ネタバレを厭わず好き勝手に書きますので、ご覧になるご予定の方はご注意くださいませ。
基本情報
『グレートウォール』(原題:The Great Wall / 長城 / 长城)は、2016年制作の中国・アメリカ合衆国の映画。
万里の長城を舞台に繰り広げられる壮絶な戦いを描いた歴史戦争アクション映画。チャン・イーモウ監督、マット・デイモン主演。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
感想
公開日の翌日に劇場で観てきました。
が、既に超小ぶりなスクリーンな上に客入りもボチボチ……。
んー。
全然話題になってないしプロモーションもあまり力を入れてる感じでもなかったし、こんなものか……。
おそらく中国本土ではそれなりに客入りがあって、分母の強みで興行成績もちゃんと成立しているんでしょうかね。
こういう映画を観ろよ!劇場でさああ!!!
あ失礼取り乱してしまいました。
僕の好みにマッチして超良かったんですよ、本作。
まあ、僕自身も、チャン・イーモウの名前を見つけなかったらスルーしていたであろうし、正直いうとほんのりナメていたので、IMAXで観る事も可能なタイミングだったところを、通常上映にしてしまったのです。
大後悔時代。
ほんと、後悔しました。
チャン・イーモウを信じ切る事が出来なったワケです。
あんなに評価していたのに。
嗚呼。
「初恋がきた道」も「HERO」も大好きだったのにねえ。
今作の出来栄えを確認して、改めてこの監督にはついて行こうと思いました。
万里の長城を使って敢えてのクリーチャもの
初報を見た時に思いましたよね。
「ああ、中国の壮大な歴史系大作なんですねええわかります」と。
僕もそう思っていて、まあチャン・イーモウだからそういうお行儀イイ作品も求められるんだろうなーなんて感じておりました。
オリンピックの演出するくらい国民的な創作者ですからね。
万里の長城を題材に、中国最高だぜ映画を創るのは自然です。
が、全っ然違いました。
ま既に予告編の時点で、人ならざる存在から人類を守るために作られたのが長城だった的な事を報じていますね。
これなー。あっさり見せ過ぎだったかもなーと思わずには居られません。
むしろ歴史超大作かなと思ったままで居たかった。
しかしもうしそうだとしたら劇場には出向いていなかった事になるワケなので、難しいトコロですウーム。
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」程ではないにせよ、もっと驚けた可能性はあったなーと思います。
でまあ、結構最初に明かされますが、大量のクリーチャを迎撃する目的で万里の長城は造られたのだとしたら?つー感じの設定がベースになっています。
この設定で映画創りを許されるのは、中国人監督だけでしょうね。
白人監督がそんな事したら、激おこ必至です。
色々の設定が作られていて突っ込みドコロも満載です。
本当に突っ込みドコロ満載なんですが、その突込みドコロの数やインパクトを大きく上回る娯楽主義の一気通貫によって、本作は十分楽しめる作品に仕上がっています。
しかも厨二感満載の。
あ、張り付ける画像間違えた、んじゃないんですよ。
このクリーチャ、「グレートウォール」に登場するんですよ。
名前を饕餮(とうてつ)くんと申します。
僕はソコでビクンとなってしまう程にはアトラス・ファンです。
おお!?邪神トウテツ!?
ま、合ってるんですが合ってません。
簡単にいうと、中国の神話に登場する神つーか魔物つーか、伝説の魔獣なんですね。
その饕餮くんがこの作品には登場するんです。むっさ登場します。
5000万匹くらい登場します。
まあ、今となっては映画版「ワールドウォーZ」がこの表現を使用済なので目新しさはありません。
ただ、万里の長城でヤっちゃうあたりは中国人の特権を最大限活用したと思うので、ソレはソレでアリですな。目新しさはないけどね。
大群の表現でいえば古くは「黒い絨毯」や「スターシップ・トゥルーパーズ」でもその表現は革命的でしたね。
大群の動きが、たった1体のボスクリーチャにcontrolされている設定を思えば、スターシップ~に近いといえますね。
ウォリアーバグ最高でしたね。
よもや「ウォリアーバグ?は?」みてーな事をおっしゃる御仁は居られないと思いますが、念のため、念のためにその勇姿をあつめた動画を張り付けておきますね。
この圧倒的な戦闘力、耐久力、絶望感、どれをとっても最高クラスのクリーチャですからね。
ま正直いいまして、監督のイカレっぷり品位が違うので、「グレートウォール」ではココまでゴアな表現はありませんが、なかなか健闘してくれていました。
武闘的様式美
「HERO」でもその予感はありました。
が本作ではそれを上回る、いやぶっ飛ばし過ぎた様式美を展開してくれます。
今となっては、KOEIぽいなーとか思ってしまうのですが、監督は無双シリーズとかお好きなんでしょうかね。
鎧がとにかく派手。
もう半分以上ギャグ判定してもいいでしょう。
五色の色によって、所属する軍隊が違い、色ごとに戦いにおける役割も違います。
例えば赤い鎧の軍隊は鷹軍といいまして、基本的に射手の集団です。
弓役割ボウガンなんかをメイン武器に使う、といった塩梅です。
この五色軍の内の青鎧の軍隊は鶴軍といいまして、構成戦士が全員女性なんですね。
この鶴軍の司令官を務めるのが今を時めくアジアン・ビューティ「景甜(ジン・ティエン)」さんです。
どっかでみたなーどこだっけなー。
……。
キングコングやんけ!
あの物語にとっては全くといっていいほど何の役目も果たさない女性の学者が景甜(ジン・ティエン)さんでしたね!
ここでも遭遇するとはね!
でこのジン姐さんの鶴軍の戦い方が基地外じみています。
壁の上にせり出した放射状の板から、命綱一本でまさかのバンジージャンプ(!?)、からの槍での突き攻撃、からのタイミングを見計らって黄色い鎧のおっさん達が命綱を必死の巻き上げ、からの帰還、です。
ザ・ハイリスク・ローリターンじゃね?
当然の事ながら、バンジー後に槍の投擲を果たすも、びよーんのタイミングで饕餮くんにええタイミングで飛びつかれて肉片と化す女性軍人多発地帯となります。
で、タイミングを見計らって命綱を巻き取ると腰に装着していたリングだけが返ってくるわけです。
その血まみれのリングを苦々しい思いで見つめるジン姐さん。
とめたれよ。
でもジン姐さんの決意は固く、彼女自ら気狂いバンジーに身を投じるんですね。
雰囲気的には、水泳の飛び込み競技の如く、です。
でね。考えたんです。
なんでこんな途方もない、というか無意味で非効率な攻撃方法をわざわざ一色を使ってまで創作したんだろうか、と。
で、ある事に気が付き、ポンと膝を打ったのです。
これ立体起動装置ヤリたかったんじゃないの?
ご存じですか、立体起動装置。
壁、大量の人外、軍隊、餌食、と来ればもうこれしかありません。
なんと判り易過ぎる符号でしょうか。
え?知らない?もー。これですこれ。
チャン監督、この演出見てやりたくなっちゃったんじゃないのかなー。
でギリギリアナログでも成立する企画を練ったら、結果的に気狂いバンジーになっちゃったっていう展開じゃないかなー。
もちろん僕の妄想ですけどね。
いずれにせよ、戦いの場面における殺陣の美しさは流石中国と思わざるを得ませんでした。
突っ込みドコロは問題ではない
以前「レッドクリフ」という作品の時にも書いたのですが、とにかく「判りやすさは価値」だと思うんですね。
ま、大体同じ事を語る事になるので多くは書きませんが、本作は本当に馬鹿が作ったのか?と一瞬考えてしまう程に判りやすい作品です。
あ、褒めてますからね。
マジで。
本気で褒めている事を信用出来ない!と思われた方は、どうか以下のエントリもお読みください。
多分納得していただけると思いますから。
最後に
多分、あっつーまに上映が終わります。
先に公開されたアメリカでは散々なコケっぷりだったようで、日本でも公開直後から縮小ムード満開です。
まーなー。この様式美はWASPにはわからんよなー(違)。
僕は大絶賛である事だけはお伝えして、以上です。■■
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